クリスコーネルの夢の話

2016年12月19日 01:41

 

2016年は高校時代に次ぎ、いろんな音楽に触れた年となりました。

今年聴いた(自分にとって)新しい音楽は
たくさんありすぎて書ききれないほどですが

ガンズのオープニングアクトをつとめたAlice in Chainsに興味を持ってからというものその辺界隈の音楽に詳しい人から薫陶を受けまくり
Pearl Jamと事故にあって、それから延々90年代のシアトルの街で、好んで迷子になっています

グランジムーブメント全盛の頃はも~ほんとキライでしょうがなくて、あれがあったから音楽聴かなくなったってほどでしたが今や、いつか全部の相関図まとめてやろうかってくらい勉強熱心ですw

特に、前にご紹介したmakiさんが書いてくださったアリチェン礼賛から数ヶ月

レイン・ステイリーのとてつもない麻薬声としっとりと湿り気を帯びて絡み合うジェリーのコーラスとのマリアージュ
暗くて浮き上がれないのに聴くことをやめられないうねりのなかにすっかり入り込んでます(おい、アクセルファンサイト・・・・w)

こないだmakiさんとアリチェン話に華を咲かせていたとき、レインが、亡くなる前に行ったインタビューで


ドラッグに手を出したことをとても後悔しているけどもう引き返せない所まで来てしまった
こんな形で人生を終わらせようなんて思ってもいなかったけど自分が死ぬのはもうわかってる
今は死ぬのを待ってるような状態だ


って言ってたっていうのを聞いて絶句してしまった

オーバードーズで亡くなったというのは知っていたけどディテールまでは知らなかったので、すごく気になってネットで探しました
悲しいインタビューだった…全部、最初から最後まで悲しかった

もっといろいろ知りたくなって、アリチェンとレインについてめっさ調べ出しました
でも、日本語の記事ってあまり多くなく

仕方ないので英語のWikiを見に行ったらすごく詳細に彼の人生が書かれてた
あんまり長いからプリントアウトして通勤の間、読んだ。まじで行き帰り、電車でグスグス泣きながら読みました

もちろん楽しいこともたくさんあったんだろうけど、彼の人生ほぼStruggleと言っていい感じだった
こんなにも影が多く、悲劇的な人だったとは。

最初はWould?という曲に惹かれて、それからいろいろ聴いてとにかくその作品の持つ独特の世界観が気に入って、最初はバンドの中身とか、人となりとか、そういうところにまで興味持たなかったけれど

バンドを好きになるって不思議ですよね
それが正しいか正しくないかはよくわかんないけど、彼らが纏う物語にまで惹きつけられていく

彼の悲劇性に惹きつけられるっていうのはあまりに下衆でいやだけど

いろいろ知れば知る程、曲で歌われている歌詞、単語のひとつひとつに、彼の思いを見出そうとしてしまう

その意味の受け取り方は、自分というフィルターを通してのものでしかないし、本当に彼が表現したかったこととは本質的に違うと思いますが…

若くして亡くなったから、彼自身の言葉ってそう多く残っていないけれどそれでも、昔の記事やなんかで沢山の人が彼を語っているのを見つけました
彼に捧げる曲もたくさん作られているのね。

それだけ愛されて、印象強くて、周りに影響を与えた人物だったんだろうなってのが偲ばれました

彼の死後、周りの人達がどれだけ自分を責めたかっていうのも伝わってきました

 

もっとなにかできたかもしれなかったのに。
救えなかった、っていう思いは、いつまでも
心のなかに残ってしまうものです


そんなたくさんの彼への思いを綴った曲や文章を読み進める中で、クリス・コーネルが書いた文章を見つけました
切ない文章でした

ここの他に書くところも持ってないので、場違い感完全シカトで書いてみます


私はクリスコーネルについて全然詳しくないので、日本語にしたとき一人称は俺なのか僕なのかどっちのイメージなのかわからない
でも、なんとなく「僕」で訳してみます

いつも通りの雰囲気訳ですので、絶対間違いありますが…

原文は こちら 

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夢の本質が一日中つきまとうことがある。
ときには数日にわたって。

小さい頃に見た夢を昨日見たかのように思い出せる。
時を越え、過去にあった現実の出来事が記憶の中で生き延び夢に出てくることもある。

夢の本質を突いたような部分にすごく惹かれる。
それは現実の場所と同じ空気を放つ、鮮明でリアルなものだ。
育った家、お気に入りのバーや学校なんかと同じだ。
毎年飾られていたクリスマスツリーを最初に飾ったときのこと、
その薫り、そしてなによりも、かかっていた音楽。
そういった取り巻くものが呼び覚ます感覚は、恐ろしく魔法じみて鮮やかで
全部がまるっきり現実だ。

歴史の中の数多の文化が、夢の世界は人間の意識ある現実世界と

まったく等しく実在する重要なものだと信じているし
神秘主義者は、夢の世界こそが”真実の現実世界"で、他の全ては幻想だと言う。
もしも、誰かが僕の金欲しさにアイスピックを自分の手に突き立てたとしたら、
それこそ最高な幻想だっていうことの証明になるんじゃないか

昨日の夜見た夢は、一日中病気の犬みたいに僕につきまとっていた。
僕は自分が育った家の側にあるホテルにいて、
通っていた小学校のランチコートがカフェだった。

懐かしい昔の友達が行き交い、自分に話しかけてきた。
そのシーンの中に、レイン・ステイリーが歩いてきたんだ。
見た目は初めて会った時そのままだった。
肩まで伸びた髪、髭はなかった。澄んだ目をしていて、20歳位に見えた。

ものすごく嬉しかった。多少混乱したが、こんな夢を見ている間は
多少の間違いも含めて彼が生きていて、元気だというアイディアを受け入れたかった。

彼は嬉しそうに、今ね、新しい音楽のプロジェクトに取り組んでるんだよ、と話した。
夢から目が覚めたあともしばし、本当にあいつと話したような感覚で
あいつは今もどこかでちゃんとうまくやっているような気がした。

次に浮かんだ考えは、何年にも亘って自分を苦しめてきたものだ。

ケリー・カーティスの家のリビングに30人ばかりの人間と座っていて、みんな泣いていた。
パラマウントシアターで行われた、アンディ・ウッド※の奇妙な通夜から帰ってきたところだった。

流れていた新しい世代の空気は、アンディの生涯には全然そぐわなかった。
その様子は、Mother Love Boneと彼の素敵な映画に収められている。

アンディの友達と家族が全員そこにいた。
僕にとっては気に入らなかったが、アンディを愛してやまなかったであろうファンも数多くいた。

ファンは家に帰り、友人たちはケリーのところに寄ったんだ。

極狭なリビングに詰め込まれ、カウチのアームやテーブルの端、床と
座れるところを見つけ、めいめいに座り込んでいた。
僕はドアの正面に向いたカウチの後ろに寄りかかってた。

アンディの彼女が皆を見回して「なんかラ・バンバみたい」と言ったのを覚えているが
その時、突然外から足音が聞こえてきた。
それがどんどん大きくなって、ドアの前にたどり着いたと思ったら、レインが飛び込んできた。
完全に壊れ、号泣し、本気で怯え、混乱状態だった。まるで子どものように。

彼がみんなを見回した瞬間、僕はあいつに駆け寄って彼を掴み、強く強く抱きしめて全部大丈夫だからと言ってやりたい衝動にかられた。

ケリーはいつも周りの人間に「全部うまくいくから」と思わせてくれる人だった。
世界は終わりゃしないんだよ、と。
だから僕たちはいつも彼の家に集まった。

僕は、レインの、そういう存在になりたかった。
だっておそらく彼は心底それを求めていたと思うから。
僕はそうしなかった。立ち上がり、入り口まで飛んで行くことすらしなかった。
そして今でもそれを、後悔している。

その場の誰も、そうしなかったんだ。理由はわからない。

数年後、僕はレインの葬儀で怒っていた。

他の、才能ある若くして亡くなったたくさんの友人の葬儀で散々聞いたナンセンス
「強く輝く蝋燭は、燃え尽きるのも早い」
「彼はこの世界にとってあまりにも特別すぎた」
そんなよくあるくだらないスピーチを聞きながら怒りに震えていた。

なぜそんなにも怒っていたのかわからない。
レインに対して?自分を残して去っていった多くの友人全てに対して?
「あいつを一番知ってたのは自分だ」とか「彼が信じていたのは俺だけだ」と言い続ける連中に、だろうか?
この世界は生きるに値する場所なんだと感じさせてくれたすべての輝かしい未来を、ただ浪費し続けるだけの連中に?

もしくは、
彼が死んでしまったことで、僕は自分自身に怒り狂っていた。
一度だけだがチャンスはあった。
彼を助け起こし、埃を払い、お前の苦しみがどれほどのものかと気にかけている人間がここにいるよ、と伝えることができたのに、僕はしなかった。

もし、夢の中でまた彼に駆け寄ることができたなら、その時謝ることを、自分が覚えていたらいいなと思っている。

おやすみ、いい夢を。 ”C”

 

※アンディ・ウッド…アンドリュー・ウッド。Mother Love Boneのボーカリストで共通の友人です。24歳の若さでオーヴァードーズで他界しています。