Suit

2017年04月04日 22:55

 

春なので、ガンズじゃないけどなんとなく春っぽいお話をひとつ
 
前にも少し書いたことがあるので、話が重複するかもしれません
 
少し前にJun & 8 Ballsさんのライブにおじゃましました。
ライブを拝見するのは数年前のガンズ祭り以降初めてでし
テレビではお姿を拝見していましたけどね。ガンズ来日前に放送された特番に
㈲石井商会さんとふなっしーと一緒に出演されてたのでw
 
普段から衝動と思いつきで行動するので、人を誘ったりすることもあまりない
♫約束は要らないわ 果たされないことなど大嫌いなの~♫主義
 
だいたい一人でいます

その日もだから、お話ししたことがあるのは
ボーカルのJunちゃんとギタリストの通称”院長先生”だけでした。
 
まだ寒かったその日、駅から激近にも関わらず鉄板方向音痴の私は
グーグルマップを上にしたり下にしたりぐるぐる回したり自分が回ったりしながら、ようやく現地に到着しました。
池袋の駅からすぐの、一度も行ったことのなかったところ。ライブハウスではなく、
確かバーでしたか…ビールがおいしいというお店。
 
 
ドアを開けると場内は満員。
私は入口の横に脱いだコートを掛け、まったくいつもと代わり映えしない姿
紺のニットキャップにブルーのネルシャツ、中にはバンT、ダメージジーンズにブーツ姿で
いい加減やめるべきですか?w)

かろうじて空いていたカウンター席に滑りこんで、最近少しだけ飲めるようになったカクテル的なものを、
下戸なのでゴクゴク飲むことは出来ずSipしながらおとなしくしていました
 
そんな私を見て
「わっ」
と目を見張るすっごくきれいな女性が。
たしか、鮮やかな色のお洋服をお召しになってたと思うけど、
お顔立ちの美しさに見惚れて残念ながらあまり覚えておりません。
 
「もしかして白玉さんですか」
 
え、会ったことあったかな…記憶をフル動員しても思い浮かばない
「はい…えっと、どなたですか?」
と伺うと私のブログを読んでくださっている方でした、しかも、ずっと前からとのこと。
1月の来日公演全通したと仰る
 
彼女も一人でいらしていたので、ライブ前にカウンターでいろいろとお話をしました
 
とてもかわいらしく、人に気を使わせない雰囲気の彼女はアクセルの大ファンで、お話するのがとても楽しい方で。
一人で出かけたのにこんな出会いがあったことと、声をかけてくださったことが嬉しい、ありがとうと何度も言いました
 
暫くするとライブがはじまって、
小柄で可愛らしいけど仕草や表情がそっくりなJunアクセルの歌声、高熱で不調の中、
椅子に腰掛けてギターを鳴らす院長先生のライブを楽しんだ。演奏するみなさんも嬉しそうに見えた。
バンドとしても久しぶりのライブだったそうで、その場に居合わせることが出来てとてもよかったです。
 
ステージ前には以前他のガンズのトリバンでボーカルをつとめていて、
Junさんにバン活を勧めたという方もいらしていて(その話はライブの後に聞いたのだけど)
 
最後の曲、パラダイスシティが始まるとJunちゃんが
突然私とその方の手を取ってステージに引っ張っていく。完全に想定外。
 
突発コーラスやらせていただきました(笑
バンドのみなさん、客席のみなさん唖然だったと思いますがわたしも唖然でした(笑
でもなかなかに思い出に残る経験しちゃった。
 
その日がご縁のはじまりとなって、その時のキレイなお姉さんとお話をするようになり
やりとりのなかで、彼女がものすごい香水フリークであることを知ることとなります
 
香水…ほとんど未知の世界だよ
追究したこともないし、私はパフュームとオードトワレの違いすら知らない。
 
でも彼女が時々見せてくれる香水の説明はとても優雅で、読んでいるとすごく興味を惹かれる。
 
この年齢になるまで、女子の世界にはとんと疎いまま生きてきたわたしにとって、彼女の知識と表現はとても新鮮でした。
 
ちょうどいつも着けている香水が減って来たこともあり、別のものを試してみたいなと思っていたときで、
こういう香りが好きなんだけど、年齢にあったいい香水はないかなと彼女に相談してみました。
 
それならこんなのもおすすめですよ、とさらりと提示してくれるかなと思ったら
 
そういう質問してくれたことがとても嬉しいから、腕まくりしてお勧めを見つけます
少し時間を下さいとお返事がありました
 
自分が大好きなものから、選んで人にお勧めすることの喜びは自分もよく知っています。
確かに、さらりとおすすめなんて出来ないですよね(笑
 
彼女ほど一つの世界について、深く物事を知っているものはあまりないけれど、
好きなものについて聞かれること、それ自体が大変な幸せ。
だから、気持ちはとてもよくわかりました
 
私は彼女を幸せにしようと思って質問をしたわけではなく、
ただ彼女の中に築かれているであろう香水の世界への好奇心と、
数多ある香水の中でお気に入りのものが見つかればいいなと思って質問をしたわけでしたが
 
「腕まくり」する気持ちがよくわかるのと、
自分の訊いたことが、彼女を幸せにしたことをとても嬉しく思いました。
 
それから暫くして、あちこちのお店を回っていろんな香水を自分の肌と鼻で試していることを知り、
軽い気持ちで訊いたことを申し訳なくも思いました。
 
でも、きっと自分が自分の好きなものについて相談されたら、
間違いなく同じようにあるきまわったり調べ回ったりしたであろうことは明らかで
売り場に足を運び、肌に香水をなじませ、
店員さんと話し合っている姿を想像して

きっと選ぶことを楽しんでくれているに違いない、
だから申し訳ないと思うことこそ申し訳ないんだと思い直し、
ただありがたくお返事を待つことにしました
 
さらに暫くして「やっとできました」との連絡が。
とても長くなってしまったと仰るので、ではメールで送ってねとお願いしました。
 
その日私はお友達と食事に行っていて、メールを開いたのは遅い時間の電車の中でした
 
彼女からのメールは8通届いていました。
 
ちょうど実家に向かうところだったので、読む時間はたくさんありました。
 
そこに書かれていたのは、単におすすめの香水の名前だけではありません
香水の歴史、原料、昨今の値段高騰の理由、調香師の紹介、
選び方、試し方、まとい方、お勧めの店舗、香水にまつわる名言、
香りには棲み分けがあること…
 
そして選んでくれた香水は何種類もあり、その一つ一つに解説がありました。
 
最後には香水をつけることの意味まで添えられていて、それはそれは美しく纏められていました。
 
香水の説明を読むだけでほんのりと嗅覚が刺激されるなんてなかなかない体験
文字から浮かぶ香りを楽しみながら、面白くてまったく文章が長いなんて感じなかった。
 
早く実際にまとってみて、彼女の文章を実体験してみたいとも思いました
 
あまりにも素敵な文章だったので、
あとでプリントアウトしようと思って全文を貼り付けてみたら、
A4用紙にしてゆうに25枚は書かれていたわけです(笑
わたしからしたら、本にできるほどの内容と密度です
 
香りを文字で表現するってすごくすごく、難しいことのように思いませんか?
でも彼女は培ってきた内側の世界から、こういう文言をするすると引き出せるんだろうなとも感じて…
大好きな世界があることの尊さをひしひしと思わずにはいられませんでした。
 
春が来て、まだ気ぜわしい4月ではありますが、時間を見つけてあちこちのショップに行ってみる楽しみができました。

どれにしようかなあ。
 
香水ってすっごく面白い。そう思わせてくれたことにも感謝しきりです
 
ずっと好きってやっぱり素敵なことですね。
前にアリチェンを紹介してくれたmakiさんの文章にも、
まったく同じ思いを抱いたのを思い出しました。
あのときは手書きのお手紙だったな。
 
香水のことを考えながら、はて、わたしがこういった世界、
つまりなにかを纏うということに疎いまま生きて来たのはなんでだろう…
と、また考え出す
 

実はここ何年か、生まれて初めて
自分に似合う色とか服の形、髪型というものに恐る恐る触れてみています。
なんとも言えない違和感や女装感(笑)に悪戦苦闘していました、いや今もちょっとしています
 
自分に似合うとか、似合わないとかいうことを考えてはいけない人種だという気持ちが根強いからです
 
その理由はなんだろなあと考えてたら、一個思い出しました。
もう表面的にはすっかり忘れていたのに、どこかでその出来事を足枷みたいにして来たのかな
 
自信のなさを扱いきれず、それを誤魔化すかのように音楽とか絵とか読書に夢中になって
過ごした中高時代を過ぎ、短大に進級した頃ですね
100年くらい前ですか笑
 
その日、自分としては一応おしゃれをして登校したんです。
スカート履いて、買ったばかりのブラウスを着て…
 
そしたら私を見た男の先輩がものすごく笑ったんです
うわ、なにおしゃれしてんの?と。
 
その言葉はたぶん、特別ひどいものでもないと思います。
見慣れない姿が面白かったから笑っただけ、
あるいは単純に似合っていなかったか。

でもその言葉は自分がうっすら思っていたことをまんま表現された感じだったのでしょう
 
あーーー、自分はおしゃれしたら笑われる人種なんだ
女の子みたいなこと楽しんだら分不相応なんだ
と証明されたみたいに認識したんですね
 
それから絶対おしゃれしなくなったんだと思う。
 
ほかの誰かに褒められるようなことがあっても、絶対に信じないし受け入れなかった。
その先輩の笑った顔こそが自分にとっての真実だから、喜ぶなんてあり得なかったんです
 
それを、出来事を忘れてしまってもずーっと正しいと信じて生きてきたのだね
その人の名前も思い出せないのにね。
40半ばまで笑
 
一途かよ 笑
 
でまた、そのあともそういう風に自分を扱う人とばかり関わってた。
それが当然だと思ってるから、そう扱ってくれる人を自分から選んで、
あの時言われたことはやっぱり真実なんだという証拠集めをしたいかのように。
 
大切にしてくれる人こそ、信じられなかったよね。ねじ曲がってるからね。
 
40すぎて、ずっと怖かった"とってもおしゃれな女友達"というのができて、
服のこと、髪のこと、お化粧のことなんかを話してくれても
自分はそのカテゴリーに入っていないからと
遠いどこかの国のお話みたいにうんうん聞いてて
 
そしたらあんたにはこういうのが似合う!絶対だから!と色々教えてくれる。

苦笑いしながら例の「女装のつもり」で笑いながら試してみた。
わたしなんかそういうんじゃないから…何着てもなにしても変わらないよ
と言いながら。
 
その時、あれ、似合うものってあるんだ…と思いました
 
そうこうしてるうちに、ちょっとだけ、
似合うものを選ぶのは悪いことじゃないんだなと感じ始め
(歳取って開き直りも出てきたのか)
 
それから、誰のために綺麗にするの?というのを考え始めた
 
少なくとも、笑う人のためじゃない。
自分が楽しいから楽しめば良いんだよね、と 笑
枷が外れたんだよね。長かったね、てか遅い!!!
 
だけど今、楽しいですね

そしたら今日の服似合ってる、素敵だねって言われることも増えて、
そういう言葉を普通に嬉しく受け取れるようにもなりました
 
香水もそんな変化の1つなのかも知れないです
 
もっと早くこう思えてたらまたいろいろ違ったんだろうけど
そう思えるまでかかった時間は、自分には必要だったんだろうし
今しかないから、今から楽しみます
 
周りの誰にも似合わない
たぶん自分にしか似合わないもの
世の中にはきっとあるんだと思えます。
 
わたしみたいに思い込みすごい人はそういないかもしれませんが…
似たようなコンプレックスで、自分に粧うことを許さない人ももしかしたら、いるかもしれません
男性だってそうです
 
似合うもの、見つけるのは罪でもなんでもないですよ
 
色でも、香りでも、探してみたらいいと思う。試してみたら良いとい思う。

そういうのなにもわからなかったら、教えてくれる、おしゃれが得意な友達はきっとそばにいますよ。
喜んで選んでくれると思います。
 
そんなお話でした。